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2021.06.30 / 日々のこと 未分類

夏のはじまり

セミが鳴き始めた。

人間も動物も一日の活動を終える静かな夕暮れ時に、ヒグラシが一人、甲高く鳴く。その切ない声を聞いていると、なぜか、「日本の夏だ」と思う。

半年ちょっと前に観た、「いちばん美しい夏」という映画を思い出した。

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大学では教養学部に属していたので、いろんな分野の授業を受けることができた。中でも芸術や文化に関する授業が好きで、映画の授業も取った。そのクラスの先生が同時に映画監督でもあり、「いちばん美しい夏」はその先生の作品だと知って、観た。

授業では、毎週課題として出された一本の映画を観て、ある一つのテーマについてその作品を分析する、ということをした。授業中にディスカッションをするために事前に準備したり、そのあともそのテーマに基づいて自分で短い脚本を考えるという課題があったりというなかなかハードな授業だったけれど、作る側の視点に立って映画を観たり、先生の解説を聞いたりすることで、映画の面白さが何十倍にも増した。

その授業を取ったあとから、映画がとても好きになった。それまでは単純にストーリーの面白さで好き嫌いを決めていたけれど、映画は、ロケーションやファッション、セリフ、カメラワーク、ライティング、、、などなどたくさんの要素で構成されていることを知って、同じ映画を何度も観ることの楽しさも知った。

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映画が好きなのは、五木村に来ても変わらない。東京にいたときのように良質なミニシアターが近くにたくさんあるというわけではないけれど、よほどマイナーな作品でなければ、レンタルもできるし、オンラインで配信されていたりもする。

そして気づけば、副代表の望生さんとの「始業前に映画を観る」という朝活が、定例化し始めている。第一回目は「ティファニーに朝食を」、第二回目は「天使にラブソングを」、そして先日は「紅の豚」を観た。

仕事をより頑張るための栄養になるはずだったのに、始業まであと10分というところで号泣してしまったり、余韻からなかなか抜け出せる気がしなかったりして、なんだか逆効果な気がした。それでもやっぱり、いい作品に触れることや、言葉で説明できないくらいに心を動かされる体験は、何にも変え難いなと思う。

五木村に住んでみて、自然の中に住むことで磨ける感性があることを実感しつつも、ギャラリーやミニシアターになかなか足を運べないのがもどかしくもある。でもだからこそ、自分の五感が喜びそうなもの、新しいインスピレーションに出会えそうなものを見極めて、時間やお金を費やしたいものを厳選する。

もしかすると、文化的な施設が五万とある東京にいるときよりも、よりいいものに触れようとする意識が高まっているのかもしれないなと気づいて、少し嬉しくなった。次は、夏っぽい映画を観たい。

今回の記事を作成したのは
吉本遥
吉本遥さん

熊本市出身の25歳。東京での大学生活を経て小さな村での暮らしを望むようになり、2021年3月、五木村に移住。民俗学が好きで、古い道具や昔から続く暮らしの営みに触れるとわくわくします。